
棄却した(画像:CT-May、CC0 1.0)
愛媛県を管轄する松山地裁は3月18日、2011年に県内の住民らが四国電力を相手に起こした訴訟について、原子力発電所の伊方発電所3号機(出力:890MW)の運転差し止め請求を棄却する判決を下した。原告側は、控訴する方針だ。
裁判所は「原告らの生命、身体などを侵害する具体的危険があると立証されたとはいえない」と判決の理由を述べた。一方、四国電力は、従来より伊方発電所3号機の安全性が確保されているとの主張をしていた。
また、2024年3月には大分県の住民が、さらに今月初旬には広島県の住民が同じく伊方原発3号機の運転差し止めを求める訴訟を起こしており、大分地裁と広島地裁のいずれの判決でも住民側が敗訴している。
伊方発電所3号機は、1994年に運転を開始し、福島第一原発事故を経て2016年に再稼働した。現在、伊方発電所では唯一稼働中の原子炉であり、1977年に稼働した1号機(出力:566MW)は2016年に、1982年に稼働した2号機(出力:566MW)は2018年に運転を終了した。1・2号機は、新規制基準に適合するための安全対策費用がかさむうえ、採算性が取れないとの理由から廃炉を決めた。
政府は、第7次エネルギー基本計画の一環として、2040年度の電源構成に占める原子力の割合を現在の約10%から20%に増やすことを目指している。この目標を実現するためには、現在稼働中の原子炉の運転を継続するとともに、他の原子炉の再稼働も進める必要がある。