
政府は3月11日、「環境影響評価法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、同日、国会に提出した。同改正案は、環境影響評価手続きにおいて作成した書類(アセス図書)の継続的な公開や風力発電所の建替事業における手続きを一部合理化することが含まれている。
現行法では、事業者が作成したアセス図書の公表期間は概ね1ヵ月程度に限られており、その後に続く事業者が過去の評価結果を参照することが難しく、情報を十分に活用できていないという課題があった。このため、改正案では、アセス図書の縦覧期間後も、インターネット上で継続的に公開できることを目指している。公開期間は、法律で定めることとなるが、数十年単位となる見込みである。
また、風力発電所の建替事業については、現行法では建替の規定がなく、新規事業と同様に事業位置の検討や周辺環境の調査が求められており、手続きが煩雑になっていた。
改正案では、建替事業の場合、環境影響評価の第一段階で「建替配慮書」を提出し、事業の実施想定区域に係る周囲の概況などの調査が不要となる。一方で、既存の事業における環境への影響を考慮した上で、新設する工作物に関する環境配慮を示すことを求めていく。建替事業の対象は、既設工作物を除去又は廃止し、同種の工作物を同一または近接した区域に新設する事業とし、特に陸上風力発電所においては運転開始から20年以上経過していることも多く、手続きの合理化によるメリットを享受できる。
直近では、コスモエコパワーが青森県東通村に保有する「新岩屋ウィンドパーク」(出力:27.0MW/AC)がリプレース工事を完了し、今月から運転を再開した。また、ユーラスエナジーホールディングスが青森県横浜町に保有する「ユーラス大豆田ウインドファーム」(出力:10.5MW/AC) は、2027年2月の運転再開を目指して、今月からリプレース工事を開始した。
環境影響評価手続きの合理化により、建替事業の運転再開までの期間短縮や手続きの負担が軽減されることが期待される。特に陸上風力を活用したPPAが増える中で、同法案が成立すれば発電コストの抑制にも繋がる可能性があり、風力発電の拡大に向けた後押しとなる。
陸上風力発電を巡っては昨年、JR東日本エネルギー開発が山形県米沢市で進めていた「栗子山風力発電事業」(出力:最大34MW)の中止を決定した事例もある。この事業は、経済産業大臣による「環境影響評価準備書」への勧告を事業者が受け、スケジュールの遅延や追加コストの増加などが原因で中止に至ったもので、環境影響評価手続きの合理化はコスト削減にも直結する。
同法案は、今国会での成立を目指しており、成立した場合、施行期日は公布の日から起算して2年を超えない範囲としている。