
現時点では、東京ガスのみである
東京ガスは6月30日、レノバおよびシンガポールのEquis Developmentが開発を進める蓄電所2ヵ所について、各社が設立したSPC(特別目的会社)との間で、運用権の取得を目的としたオフテイク契約(計2件、合計出力:80MW)を締結したと発表した。
契約対象は、レノバなどが出資するSPCのアールスリー蓄電所が北海道で開発する「石狩蓄電所」(出力:30MW)と、Equis Development傘下のSPCである芦屋バッテリーパワーが福岡県芦屋町で開発中の「芦屋蓄電所」(50MW/201MWh)の2ヵ所で、いずれも2027年度の運転開始を予定している。
両蓄電所の開発および保守はそれぞれのSPCが行い、東京ガスはその運用権に対する利用料を払う仕組みで、20年間の契約を締結した。蓄電した電力は、卸電力市場、需給調整市場、容量市場を通じて売電する予定である。
なお、系統用蓄電所に関するオフテイク契約を公表しているのは、現時点では東京ガスのみである。同社は2024年9月に日本蓄電ともオフテイク契約を締結済みで、同社が宮崎県宮崎市で開発を進める「広原蓄電所」(30MW/120MWh)は2026年7月の運転開始を目指している。
東京ガスは2024年4月に蓄電所事業に参入し、完全子会社のニジオが開発や保守業務を担当している。第1号案件として開発中の「大分県角子原蓄電所」(25MW/50MWh)は2026年度の運転開始を予定している。また、2025年3月にはレノバが開発を計画している北海道の「苫小牧蓄電所」(出力:90MW)および静岡県周智郡の「森町睦実蓄電所」(出力:75MW)の需給運用業務を受託している。
2025年度の第3回長期脱炭素電源オークション以降、運転継続時間が6時間未満の蓄電池を入札対象外とする制度見直し案が検討されていることを受け、長期のオフテイク契約は、融資の確保や事業収益の安定化を図るための手段としても、今後さらに注目が高まるとみられている。