
その後知事が再稼働の是非を表明する
(画像:原子力規制委員会)
新潟県は7月8日、東京電力ホールディングス(以下、「東京電力HD」)の「柏崎刈羽原子力発電所」の再稼働に関する県民の意見を把握するための意識調査を実施すると発表した。調査期間は2025年8月中旬〜9月中旬を予定している。
対象は、県内在住の18歳以上の住民から無作為に抽出された計9,000人以上である。内訳は、県全域から3,000人以上、発電所から30km圏内の住民から6,000人以上である。原子力発電の必要性、安全対策、再稼働に対する意識などを調査する。回答方法は郵送またはインターネットによるアンケート方式で実施するとしている。
新潟県の花角英世知事は、県民の意見を把握する手段として今回実施する意識調査のほか、公聴会を挙げ、これらを踏まえて再稼働の是非を判断する方針である。また、2025年5月には新潟県が全5回に分けて行う、県内の市町村長との2025年度第1回意見交換会を開催し、再稼働の判断にあたって自治体首長の声も重視する姿勢を示している。
知事は7月9日の記者会見で、再稼働についての判断時期は意識調査が完了する9月以降になる考えを示している。柏崎刈羽原発の再稼働を巡っては、法的義務はないものの、地元の同意が焦点となっており、知事の判断が再稼働に向けた実質的な最終関門とされ、今後の展開が注目される。
なお、発電所が立地する柏崎市の桜井雅浩市長は、2024年8月の時点で再稼働を容認する意向を示している。ただし、その前提として1〜5号機の廃炉計画の明確化を東京電力に求めており、同社が再稼働後2年以内に廃炉方針を示すとしたことを受けた判断だった。
柏崎刈羽原発では当初、7号機(出力:1.3GW)の再稼働を優先する方針だったが、テロ対策施設(特定重大事故等対処施設)の整備工事が約4年遅れとなり、2029年8月まで完了しない見通しとなった。このため、東京電力HDは、2025年6月下旬に6号機(出力:1.3GW)を優先して再稼働を目指す方針を表明した。なお、6号機は2025年6月、7号機は2024年4月に燃料装荷を完了しており、今後も再稼働に向けた準備を進める見込みだ。