
検討を進めるとしている(画像:島根県)
島根県企業局は、江津市における「江津高野山風力発電所」7号機(出力:2.3MW)について、2025年1月に故障したことを受け、修理せずに休止する方針を示したと3月15日、中国新聞が報じた。故障した7号機を含めて風力タービンは合計9基、合計出力20.7MWを有する。同発電所は、地方公共団体が管理する風力発電所としては国内最大規模を誇るという。
県企業局によると、故障の原因は、風力タービンの回転数を発電に必要なレベルまで増幅させる装置「増速機」のギア部分の損傷で、突風による影響とみられる。修理には約1年を要するうえに、修理費用が高額で再稼働後の採算性が見込めないため、休止の決定に至ったという。休止後は、ほかの8基にの部品を供給するため、当面は7号機の取り壊しや撤去は行わない方針だ。
同発電所は2009年2月に運転を開始し、2012年にFIT(固定価格買取制度)認定を受け、2029年4月までの20年間、FIT価格22円/kWhで売電する。部品をドイツから取り寄せるため、修理費は2億円と試算している。仮に修理後にFITを通じて2029年まで売電した場合であっても、累積5,000万円の赤字となり、卒FIT後の採算性の改善も見込めないという。
県企業局は、江津高野山風力発電所のほかに、隠岐の島町で風力タービン3基を設置した「隠岐大峯山風力発電所」(最大出力:1.8MW)を運営していたが、2019年度末には累積赤字が5.8億円に達し、2020年には投資運用業務を手掛ける二川ホールディングスに事業を譲渡している。風力タービン3基のうち、1基は故障していたため、譲渡したのは2基となった。
県企業局はこのほかにも、15ヵ所以上の太陽光発電所と水力発電所を所有している。太陽光発電所は 、益田市における「石見空港太陽光発電所」西地区(出力:1.99MW)や「三隅港臨海工業団地太陽光発電所」(出力:1.50MW)など4ヵ所、合計6.9MWを運営している。
また、水力発電所については、60年以上前に建設した浜田市の「三隅川発電所」(出力:7.9MW)や江津市の「八戸川第一発電所」(出力:6.5MW)など12ヵ所で合計出力27.2MWを保有している。
再エネ電力の需要が高まる中、これまでのFITによる売電から市場価格と連動したFIP(フィード・イン・プレミアム)やコーポレートPPAへの移行で電力取引がより複雑化している。エネハブのPPAデータベースによると、電源開発とKDDIはバーチャルPPAを締結し、リケンNPRはオフサイトPPAを締結しており、いずれも陸上風力発電所を活用した契約である。発電所事業を収益化するためには、発電所の適切な運用と保守、電力取引の知識やノウハウがこれまで以上に必要となる。