富士経済、2040年度再エネ市場規模は2.91兆円、再エネ発電量は政府目標の下限にとどまると予測

2025年8月8日
調査は太陽光、風力、水力、バイオマス、地熱の
発電設備と関連サービスが対象である

富士経済は7月18日、再エネ発電システム市場における2040年度予測を発表し、市場規模は2025年度の2.28兆円から、2040年度には2.91兆円へと拡大する見通しを示した。

同社はさらに、再エネの発電量は2030年度に346TWh、2040年度には489TWhに達すると予測。

これは、政府が第7次エネルギー基本計画で掲げる2040年度の再エネ比率(40〜50%)に対し、下限(総発電量1,100〜1,200TWhの約40%)に相当する水準となる。進捗には電源別でばらつきがあり、今後は制度支援や既存設備の更新が導入拡大の鍵になると分析している。また、市場構成の内訳では、太陽光と洋上風力が全体の約9割を占めると予測された。

太陽光発電は、大規模案件の伸び悩みが続く一方で、2030年代には卒FIT案件のリプレースやリパワリング需要が見込まれる。ただし、適地の減少や施工人材の不足といった課題から、発電量は政府目標を下回るとみられている。

陸上風力は、2030年度前後にピークを迎える見通しだ。その一例として、のぞみエナジーと球磨風力発電による熊本県の「(仮称)球磨村風力発電事業」(最大出力:55.9MW)や、ユーラスエナジーホールディングスによる青森県の「(仮称)小田野沢Ⅲ風力発電事業」(最大出力:162MW)が、いずれも2030年代前後の稼働を予定しており、現在、環境影響評価手続きを進めている。

一方、洋上風力は2030年度以降に運転開始を予定する案件が多く、市場の成長を牽引する電源として期待されている。背景には、政府による「促進区域」の指定や制度整備があり、2025年7月には新たに「北海道松前沖」および「北海道檜山沖」が促進区域に指定された。両区域は第4ラウンドの公募対象となる見込みで、複数の事業者が環境影響評価手続きを進めている。

再エネ市場全体としては、2030年度に現在の約1.5倍の規模でピークを迎えた後、やや縮小するものの、現在を上回る水準で推移すると富士経済は見込んでいる。なお、水力とバイオマスは市場規模が縮小傾向にある一方、地熱は市場シェアこそ小さいものの、政策支援による導入拡大が期待されるとしている。

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