
EPC契約が発表(画像:テスホールディングス)
テス・エンジニアリングとエネルギーパワーは、1月下旬から2月中旬にかけて、蓄電所のEPC(設計・調達・建設)をそれぞれ受注したことを発表した。蓄電所は、2026年半ばに運転開始を予定しており、国内の蓄電所事業が急速に成長していることを示している。
テス・エンジニアリングは、1月31日に受注金額56億円の大口契約を発表。今後、工事請負契約を正式に締結する予定だ。同社は、国内の事業会社が運営する5件の太陽光発電所に蓄電所を併設する計画で、うち4件はリース契約を結んでいるため、EPCの受注先はリース会社となる。残りの1件については、事業会社が直接保有しており、同社との契約となる見込みだ。テス・エンジニアリングは、これらの蓄電所5件を2026年1月に完工することを目指している。
エネルギーパワーは、2月14日に約40億円の受注金額を発表した。EPCを受注した系統用蓄電所の数や完工時期については明らかになっていないが、同社は2025年8月期〜2026年8月期にかけて売上計上を見込んでいる。
テス・エンジニアリングの親会社のテスホールディングスは、中期計画「TX2030 TESS Transformation 2030」の一環として、系統用蓄電所の開発や、太陽光発電所のFIT(固定価格買取制度)からFIP(フィード・イン・プレミアム)への移行、蓄電池の併設を積極的に進めることを発表している。
同社は、2024年6月末時点を起点とし、2026年度までに220MW、2029年度 (2030年6月期) までに850MWの系統用蓄電所を中心に建設予定である。また、2026年度までに自社で保有する発電所のうち75MW、2024年6月末時点で保有していた発電容量のうちの半分、または113MWを2029年度までにFITからFIPに移行することを目指している。
また、テスホールディングスは2025年2月に、大和エナジー・インフラと系統用蓄電所事業で協業していくことを発表し、3年以内に2GWhを開発することを目指している。さらに、東京センチュリーがテスホールディングスの株式を5%取得したことも発表しており、再エネ事業における幅広いパートナーシップを結んでいる。
エネルギーパワーも昨年末、関西エリアで蓄電所(各1.98MW/8.23MWh)を2ヵ所取得し、2026年8月末までに運転を開始する予定であると発表している。
太陽光や風力などの自然変動電源の増加により、発電所の所有者はFITやFIPなどの補助金に依存せず、市場原理に基づいた電力価値の最大化を図ることが求められている。両社のEPC契約および蓄電所事業に関連する目標は、国内で蓄電池の需要が高まっていることを象徴している。