国が「秋田県秋田市沖」「福岡県響灘沖」を有望区域、3海域を準備区域に整理

2025年10月7日
促進区域12・有望区域9・準備区域17となった

経済産業省と国土交通省は10月3日、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」(再エネ海域利用法)に基づき、洋上風力発電の候補地の整理を行った。

今回の整理では、「秋田県秋田市沖」および「福岡県響灘沖」の2区域を「有望区域」に、「千葉県旭市沖」・「長崎県五島市南沖(浮体)」・「鹿児島県いちき串木野市沖」の3区域を新たに「準備区域」に整理したと発表した。

秋田市沖では約370MW、響灘沖では約480MWの規模が見込まれている。新たに整理された5区域のうち、五島市南沖のみ浮体式洋上風力である。

また、秋田市沖・旭市沖・響灘沖の3区域は、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によるセントラル方式のサイト調査の対象に選定された。これにより、洋上風力発電設備の基本設計に役立てるために、JOGMECはそれぞれの海域における風況・海底地盤・気象海象などに関する基礎調査を実施し、事業者は同調査結果を用いて事業計画の検討を行う。

再エネ海域利用法に基づく区域の整理は、段階的に進められる。まず「準備区域」として整理された海域では、地元関係者との調整を実施する。その後、「有望区域」に整理されることで協議会を設置し、さらに要件を満たした区域は「促進区域」に指定される。促進区域では、事業者が公募により選定される。

今回の整理を受け、「有望区域」は全国で合計9区域(合計出力:4.4〜4.9GW)に拡大し、「準備区域」も合計で17区域となった。

促進区域については、2025年8月に「北海道松前沖」・「北海道檜山沖」(最大1.46GW)が新たに指定された。一方で、三菱商事は洋上風力第1ラウンドで落札した3海域(合計出力:1.7GW)について同年8月に撤退を発表したため、今後、北海道2区域を含む5海域(合計出力:約3GW)を対象に新たな公募が実施される予定である。

なお、再エネ海域利用法は2025年6月に改正法が公布され、1年以内の施行が予定されている。改正により、法律名は「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に関する法律」に変更され、開発可能な海域の範囲が最大で沖合200海里(約370km)まで拡大される。これにより、従来の沿岸部中心の開発から、より広域な海域での洋上風力の導入が可能となる見通しであり、国内の再エネ比率の引き上げが期待される。

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