仏EDF、岡山県で330MWh蓄電所を2029年までに開発、国内初の蓄電所案件

2025年8月4日
津山杉宮系統用蓄電所
リチウムイオン電池を採用する予定だ

フランスの電力大手Électricité de France傘下のEDF Power Solutionsは先月、2024年度の長期脱炭素電源オークションにおいて、岡山県津山市で計画する「(仮称)津山杉宮系統用蓄電所」(110MW/330MWh)を落札したと発表した。同社にとって日本国内で初めての蓄電所事業となり、2029年の運転開始を目指している。

落札した蓄電所案件は、同社関連会社のイーディーエフ・ジャパンが運転継続時間3時間以上6時間未満の区分でオークションに参加し、88.7MW(調整係数適用後)分を落札した。落札価格に基づき、容量収入が原則20年間支払われる。

一方で、容量提供事業者は、卸電力市場など他市場で得られる収入から可変費を差し引いた利益(他市場収益)の約90%を、同オークションの運営主体である電力広域的運営推進機関に還付する義務がある。また、蓄電池の契約条件として、満充電から全量放電、全量放電からの満充電を1日1サイクル実施することが求められている。

長期脱炭素電源オークションは、再エネ・蓄電池・低炭素電源への新規投資を促すため、2023年度に創設された制度である。2024年度第2回入札では、13.6GWの応札に対し6.3GWが落札され、そのうち約22%(1.4GW)が蓄電池案件となった。蓄電池における落札率は、約20%にとどまり、落札競争が激しかったことを物語っている。

経済産業省は、2025年度の第3回入札に向けた制度の見直し案を提示しており、蓄電池と揚水発電をあわせた募集上限を2024年度の1.5GWから800MWに縮小する見込みである。さらに、蓄電池については「運転継続時間6時間以上」に限定し、「3時間以上6時間未満」の案件は対象外となる見通しだ。

EDF Power Solutionsは、蓄電所事業で15年以上の実績を持ち、世界各地で600MW超の設備を運営、さらに1GWの建設を進めている。特に米国や南アフリカでは、系統用蓄電所や太陽光・風力発電所併設型の蓄電池を組み合わせた事業を積極的に展開している。

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