中電ミライズ、親会社の2.9MW「気田水力発電所」で複数需要家向けPPAを開始

2025年9月5日
20年間にわたり5社に電力と環境価値を供給する
(画像:大和製罐)

中部電力ミライズは9月2日、中部電力によるリプレース(発電設備の更新)を終えた静岡県浜松市の「気田水力発電所」が運転を再開し、同発電所の発電電力を5社の法人需要家に供給するオフサイトPPAを開始したと発表した。

同発電所は、流れ込み式の水力発電所で、1929年6月に操業を開始した。今回のリプレースにより、耐用年数が延長され、発電容量も2.6MWから2.87MWと270kW増加した。

発電した電力は、ジェイテクトとその子会社であるジェイテクトギアシステム、綜研化学、大和製罐、平岩鉄工所の5社に供給される。20年間のPPA契約に基づく供給量は、年間約17GWhに達する見込み。別の発表によると、綜研化学にそのうちの約1.7GWh、大和製罐に約3.4GWhを供給する予定だ。その他の需要家については詳細は明らかではない。

エネハブのデータベースによると、同社は小売電気事業者として30件以上の契約を締結している。その大半は太陽光発電によるものだが、同社は水力、風力、バイオマスといった電源も活用し、複数の法人需要家に非化石証書を供給する取り組みを進めている。例えば、中部電力グループが静岡県静岡市で保有する「安倍川水力発電所」(出力:7.8MW)や、広島県の「福山バイオマス発電所」(出力:52.7MW)ではPPA供給を開始しており、三重県に保有する「青山高原風力発電所」(出力:15MW)のバーチャルPPAは2027年の再稼働後に開始する。

同社にとって、リプレース後の水力発電所を活用したオフサイトPPAは、本件が初めて。綜研化学もPPAの導入は今回が初めてだが、トヨタ自動車系部品メーカーのジェイテクトはこれまでに、Tekoma EnergyとのオフサイトPPA(合計出力:4.5MW/AC)や PHOTON CAPITALとのバーチャルPPA(合計出力:11.9MW/DC)など複数の契約を締結している。

大和製罐は清水工場と真岡工場向けに、太陽光オフサイトPPAによる電力調達を開始し、年間約11.3GWhの供給を見込んでいる。そのうちの一つは中部電力ミライズとの契約である。中部電力が共同出資するバイオマス発電所を活用したバーチャルPPAでも、供給先の一つとして契約している。自動車部品メーカーの平岩鉄工所はすでに、複数の小規模オンサイトおよびオフサイトPPAを通じて電力を調達している。

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