
中部電力は3月3日、系統用蓄電所事業者を対象とした土地貸付の募集を開始した。同社が23ヵ所の社有地を選定し、合計約82MW/246MWhの蓄電池を設置する計画である。募集は今回で3回目となる。
募集対象の社有地は、主に変電所や鉄塔敷の空きスペースのほか、現在使用していない変電所跡地などを含む。中部電力は、23ヵ所のうち約4分の3を2MW/6MWhの小規模な系統用蓄電所向けに割り当て、残りは4MW/12MWhを1基、6MW/18MWhを2基、8MW/24MWhを1基、20MW/60MWhを1基設置できると見込んでいる。
今回の募集要項によると、応募受付はは7月31日まで行い、8月下旬には実施事業者を決定する。審査は、土地賃貸借料の入札価格に加えて、敷地の有効利用、蓄電池容量、設備選定、収益化計画、資金調達計画、運転開始日などの建設計画、さらには環境への配慮や故障時の迅速な対応体制といった評価項目に基づいて行う。
実施事業者は、9月下旬に系統への接続検討申込みを行い、12月下旬までに回答を得る予定だ。契約手続きは、2026年1月頃に開始し、同年7月頃に連系承認を得た後、8月頃には工事負担金契約や土地賃貸契約の締結と支払いを行い、9月頃に着工予定だ。
中部電力は、昨年3月に第1回、10月に第2回の系統用蓄電所向け土地貸付募集を実施しており、第1回では6ヵ所、合計40MWが落札された。第2回では、第1回で落札者がいなかったとみられる2ヵ所(2MW/6MWh、6MW/18MWh)を含む、合計約24MW/72MWhの7ヵ所が契約に至った。
太陽光や風力などの変動性電源が増加する中で、調整力を確保するため、北海道電力や北陸電力、四国電力など、他の旧一般電気事業者も同様の系統用蓄電所事業者向けの土地貸付募集を行った実績がある。