
行っている(画像:中部電力)
中部電力など10社は7月30日、広島県福山市において共同出資する「福山バイオマス発電所」(出力:52.7MW)の運転を開始したと発表した。
同日、中部電力ミライズは、同発電所で発電した電力に付随する非化石証書を中部・関西エリアの複数の法人需要家に供給するバーチャルPPAを開始した。PPAを通じた供給量は、年間約380GWhを見込んでいる。
福山バイオマス発電所は2023年1月に着工し、約1年半の建設期間を経て運転を開始した。燃料には、海外産の木質ペレットと、中国地方産の未利用間伐材に由来する木質チップを使用している。
このバーチャルPPAを通じて非化石証書の供給を受けるのは、愛知製鋼、ソミック石川、大和製罐、DMG森精機、東海理化電機製作所、東レ、浜松ホトニクス、富士電機、富士電機パワーセミコンダクタの9社である。
経済産業省によると、福山バイオマス発電所は2016年度にFIT認定を受けており、FIT価格は一般木質バイオマスが24円/kWh、間伐材が32円/kWh、買取期間は20年である。ただし、バーチャルPPAが締結されていることから、現在はFIP制度への移行が完了しているとみられる。
同発電所は、SPC(特別目的会社)である福山バイオマス発電所合同会社(出資比率:中部電力50.0%、稲畑産業23.2%、太平電業12.0%、東京産業10.0%、カナデビア2.0%、愛知海運、丸加ホールディングス、MECコーポレーション、藤井商事、Solariant Capitalはそれぞれ1%未満)が保有している。
中部電力ミライズにとって、バイオマス発電所を活用したバーチャルPPAはこれが初めての事例である。同社はこのほかにも、特徴的な形態のPPAを複数締結している。2025年2月には、静岡県西部の15社とオンサイトとオフサイトを組み合わせた「遠州脱炭素化プロジェクト」を通じて、相互に電力を融通し合うハイブリッド型PPAを締結した。
また、親会社の中部電力が静岡県静岡市で保有する「安倍川水力発電所」(出力:7.8MW)や中部電力ミライズが三重県で保有する「青山高原風力発電所」(出力:15MW)で発電した電力に付随する非化石証書についても、同一のバーチャルPPA契約のもとで複数の需要家に供給している。