レゾナック、川崎事業所の73.5MW自家発電設備を水素混焼タービンに更新、2030年運転開始へ

2025年10月18日
レゾナック川崎事業所の既設発電設備は159MW
(画像:レゾナック)

レゾナックは10月7日、神奈川県の川崎事業所における自家火力発電設備の更新を正式に決定したと発表した。これは、同日付で経済産業省の「排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業」に採択されたことを受けたことによるものである。

更新対象は、石油コークス・都市ガスを主燃料とする既存の発電設備1基で、これを水素・都市ガス混焼によるガスタービン設備に更新する。総投資規模は約217億円で、そのうち最大約71億円が補助金により賄われる予定である。工事は2027年に着工し、2030年第1四半期の運転開始を目指す。

川崎事業所は、アンモニア製造をはじめとする化学品の生産拠点である。更新後の年間発電量は約210GWhに達する見込みで、これは同事業所の製造工程で使用する電力需要の約40%に相当する。発電する電力の一部は、関東エリアを中心とするレゾナックの半導体材料製造拠点にも供給される計画だ。

本事業は、かつて川崎重工業(以下、「川崎重工」)との協業を前提に進められていた。両社は2023年に水素発電に関する協業検討を開始し、川崎重工が水素発電設備の納入および燃料供給を担う予定だった。しかし、同社の燃料調達の遅れにより、2025年7月に協業検討の終了が正式に発表されている。

レゾナックは2024年、川崎事業所の設備更新計画について、環境影響評価法に基づく計画段階環境配慮書を公表していた。当初は既存の159MWから約257MWに拡大する計画だった。しかし、協業検討の終了による影響とみられる事業計画の見直しにより、同計画は「第1種事業」・「第2種事業」のいずれにも該当しないことが確定し、2025年8月1日に配慮書の廃止を経済産業省および関係自治体に届け出た。

新たな計画の詳細は現時点で公表されていないが、環境影響評価法の適用外となったことから、発電規模は当初計画より縮小されたとみられる。また、電気新聞の報道によると、レゾナックは今回導入する水素混焼ガスタービンを、2035年までに水素専焼設備へ転換する計画であるという。

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