
資金調達を行う(画像:デジタルグリッド)
再エネ電力取引プラットフォームを運営するデジタルグリッドは3月18日、東京証券取引所から同社のグロース市場への上場を承認を受けたと発表した。上場予定日は2025年4月22日で、調達した資金は主に蓄電所事業を担うデジタルグリッドアセットマネジメントへの投融資に充てる予定だ。
デジタルグリッドアセットマネジメントは、2023年3月時点で6ヵ所の蓄電所事業の検討を進めており、いずれも2025年1月に計画に着手した。事業地は、中部エリア1ヵ所、関東エリア1ヵ所、その他4ヵ所については未定。中部エリアの事業には4.5億円を投資し、2026年7月に完工予定。また、関東エリアの事業には6.0億円を投資し、2029年7月に完工するという。その他4ヵ所には、総額18.0億円を投じ、2027年7月までに設置工事を終える予定だ。
今回の上場に際しては、オーバーアロットメントによる売出しの有無に応じて、11.1億円から最大23.7億円を調達する予定であり、2027年7月期までに全額を充当する計画だ。オーバーアロットメントとは、公募・売出しの株式が予想を超える需要に応じて、大株主等から一時的に株式を借りて、追加販売する仕組みだ。また、余剰資金が生じた場合には、運転資金に充てる計画だ。
これまで、デジタルグリッドは再エネと環境価値の取引プラットフォームの提供に注力してきた。特に、自己託送や発電事業者と需要家のマッチングを行うPPAにおいて、バーチャルPPAのオークションを運営し、ヴィーナ・エナジーとLINEヤフーとの間で太陽光発電所(出力:69MW/AC)を活用したPPAのマッチングを支援してきた。
同社の売上高は、2019年度 (2020年3月期) の1.9億円から、2023年度 (2024年7月期) には3.5億円に成長。また、2019年度には6.7億円の赤字を計上していたが、2023年度には9.72億円の黒字へと転換した。
さらに、デジタルグリッドの上場に伴い、既存株主である三菱商事、ソニーグループ、三井化学、豊田通商なども一部株式を売り出す予定だ。なお、主幹事証券会社は大和証券が務める。
デジタルグリッドの上場は、日本国内の電力業界における事業規模の拡大などを目指すための取引の一環である。具体的には、東急不動産によるリニューアブル・ジャパンの買収と上場廃止や豊田通商の子会社であるユーラスエナジーとテラスエナジーの経営統合などに続くものであり、FIT(固定価格買取制度)からFIP(フィード・イン・プレミアム)への移行といった、目まぐるしく変化する市場の動きを反映したものである。