
スマートエナジーとNECキャピタルソリューションの完全子会社であるNCSアールイーキャピタルは8月29日、SPC(特別目的会社)を共同で設立し、既設の小規模太陽光発電所を取得し、集約的に維持管理・運用する「既設低圧太陽光設備 長期利活用事業」を開始したと発表した。総数400件(合計出力:25MW/DC)の取得を目指す。
FIT制度初期に開発された小規模太陽光発電所は、その後の事業環境の変化により収益回収が困難となり、管理不全や放置、事業廃止といったリスクが高まっている。こうした状況のなか、分散する発電所を集約し、適切なO&M(運用・保守)および設備更新を行うことで、長期に安定稼働できる電源として有効活用する計画だ。
スマートエナジーは、取得した発電設備の運用・保守を手掛けるほか、デューデリジェンス、譲渡手続き支援、アセットマネジメント等を担当する。NCSアールイーキャピタルは、グループ全体での豊富な再エネ事業への投資実績を活かし、取得資金を提供する。
2007年に設立されたスマートエナジーは太陽光発電所や風力発電所のO&Mサービス最大手で、2025年2月に新たに蓄電池のO&Mも開始した。本件に類似する取り組みとしては、2024年7月にSMFLみらいパートナーズとの合弁事業として、丸紅が保有する非FIT低圧太陽光発電所400ヵ所の一括取得契約を締結している。
NCSアールイーキャピタルも再エネ事業への取り組みを進めており、福岡県にある「RED大牟田蓄電所」(1.99MW/8.23MWh)の開発や千葉県の商業施設で、しろくま電力とオンサイトPPAに関する協業などを行っている。
今回の動きは、2025年4月から始まった経済産業省の「長期安定適格太陽光発電事業者」制度にも関係している。同制度は、多極分散している小規模な太陽光発電所を、適格事業者のもとに集約して効率的な運営を行うことで、長期に安定した電源を確保しようとするものだ。
両社は、FIP制度への移行やコーポレートPPAといった、FIT制度に頼らない新たな収益モデルへのシフトも視野に入れ、再エネ価値の最大化に取り組むと述べている。