
蓄電所事業の拡大を目指している
イーレックスは7月1日、新たに締結した資本業務提携契約に基づき、グローバルエンジニアリング(以下、「GL」)に対して非公開の株式取得を行い、同社と電力小売事業および再エネ事業で業務提携することを発表した。
今回の提携のもと、両社は系統用蓄電所および電源の開発、PPA、需給予測精度の向上、電力取引の最適化などで連携を図る計画である。GLは、イーレックス主導で開発する再エネ電源から電力を調達し、需要家に売電する予定である。また、両社は沖縄エリアにおける卸融通等の協業も視野に入れている。
GLは、これまで主にデマンドレスポンス、電力小売、バランシンググループの運営などに携わってきた。2025年6月末には、バンプージャパンと共同開発で、同社初の蓄電所である「遠野松崎蓄電所」(14.5MW/58MWh)を岩手県遠野市で稼働を開始したほか、2024年12月に芙蓉リースと業務提携し、福岡県筑紫野市の蓄電所「筑紫野天山貯蔵ステーション」(1.96MW/7.83MWh)の建設を進めており、2025年7月の運転開始を予定している。
一方、イーレックスは、バイオマス発電所の開発・運営・燃料調達に加え、東京電力エナジーパートナーと66対34の出資比率で設立した合弁会社、エバーグリーン・マーケティングを通じた電力小売事業も展開している。現在、合計5件・418MWにのぼる案件に出資しており、さらなる案件も開発中である。また、2025年6月には再エネ電源のアグリゲーション事業への展開を目指すと発表しており、すでに2件の契約を結んでいる。具体的には、シティライトおよびJR東日本と締結したPPA契約で活用する太陽光発電所のアグリゲーションを担当する。
今回の提携は、2024年12月の東京センチュリーによるテスホールディングスの株式取得や、2025年5月の三菱電機およびHD Renewable Energyによる合弁事業へのLooopの参画などに続くものである。コーポレートPPAや蓄電所事業への移行など、急速に変化する市場環境に強みを生かして対応すべく、電力業界の業務提携が進んでいる。