インフロニアHD、三井住友建設を買収へ、2026年1月にグループ傘下に

2025年5月22日
三井住友建設は、FIPの水上太陽光の運転を開始し、
全国で10ヵ所の太陽光発電所を運転している
(画像:三井住友建設)

インフロニア・ホールディングス(以下、「インフロニアHD」)は5月14日、三井住友建設との経営統合に向け、株式公開買付け(TOB)を実施すると発表した。インフロニアHDは、前田建設工業日本風力開発などを傘下に持つ企業である。

TOBは、フィリピンにおける競争法手続きの完了を前提に、三井住友建設の3分の2以上の株式取得を目指して実施する予定で、7月上旬に開始し、完了は8月下旬または9月上旬を予定している。その後、上場廃止を経て、12月に経営統合に向けた手続きを進め、2026年1月に三井住友建設はブランドを維持したままインフロニアグループに加わる見込みだ。

今回の経営統合は、インフロニアHDにとって、エンジニアリング分野の強化と海外事業を含む事業の拡大を期待しており、三井住友建設は、建設業界が抱える人手不足や資材高騰、労務需給の逼迫によるサプライヤー確保の難しさといった課題にグループ全体で取り組みながら成長戦略を進めていく。

インフロニアHDは2021年に設立。傘下の前田建設工業はEPC(設計・調達・建設)サービスに加え、バイオマス発電所や系統用蓄電所の開発を手掛けている。日本風力開発は1999年の設立以来、累計500MW超の風力発電を開発し、その実績は2024年の総発電容量(速報値)5.84GWの約10%に相当する。

また、インフロニアHDは2025年4月に公表した「INFRONEER Medium-term Vision 2027 中期経営計画」において、蓄電池事業を今後3年間の成長戦略の一つとして位置づけている

一方、三井住友建設はこれまで水上太陽光を中心とした再エネ事業の開発を展開してきた。2025年5月には兵庫県加東市で、同社初のFIP(フィード・イン・プレミアム)制度を活用した「加東市(平池・新池)水上太陽光発電所」(出力:1.6MW/DC、1.0MW/AC)の運転を開始した。これにより、稼働中の太陽光発電所は10ヵ所に達する。

三井住友建設は「中期経営計画2022−2024」において、再エネ発電容量を2024年までに40MW、2030年までに150MWに拡大する目標を掲げていたが、2024年時点では目標に届いていない可能性もある。

今回の経営統合を通じて、三井住友建設は財務基盤や人的資本の強化、研究開発への投資拡大を図り、経営基盤の強化を目指していく。

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