経産省、長期脱炭素電源オークションで蓄電池枠を半減、6時間未満は対象外か

2025年5月30日
今年度は、運転継続時間が6時間未満の蓄電池は
応札対象から除外される見通しだ

経済産業省・資源エネルギー庁は5月28日、専門家会合(制度検討作業部会)において、2024年度の第2回長期脱炭素電源オークションの結果報告とともに、2025年度に実施予定の第3回入札に向けた制度見直し案を提示した。

2025年度の入札では、全体の募集上限を現行と同じ5GWに据え置く方針だが、蓄電池および揚水発電の調達枠は大幅に見直される見込みだ。両電源をあわせた募集上限は、2024年度の1.5GWから800MWへと半減する見込みだ。そのうち蓄電池については、「運転継続時間6時間以上」に限定し、「3時間以上6時間未満」は対象外とする案を示した。

また、蓄電池と揚水発電の枠(合計800MW)についても、「揚水のリプレース案件とリチウムイオン蓄電池の案件」と「揚水の新設案件とリチウムイオン蓄電池以外の蓄電池およびLDES(長期エネルギー貯蔵システム)案件」とし、それぞれ400MWを上限とする方向で検討中だ。

前回までは、蓄電池の種別にかかわらず運転継続時間の区分ごとの上限を設定していたが、2025年度入札では蓄電池の種類ごとに区分を分ける見込みだ。

過去2回のオークションで蓄電池案件に応募が集中し、いずれも上限を超えて落札されたことを踏まえた見直しだ。2023年度第1回入札では、予定上限1GWに対し蓄電池1.1GWが落札された。2024年度第2回入札では、3時間以上6時間未満の蓄電池に5.14GWの応札があり、961MWが落札。6時間以上の蓄電池も1.8GWの応札に対して409MWが落札され、いずれも運転継続時間ごとの上限(750MW)を上回る結果となった。

さらに、6時間未満の蓄電池については、同オークションを介さずに開発している案件も一定数存在し、今後は同オークションを通じて、より寿命の長い蓄電池や、揚水発電の新設を支援する方向性を打ち出している。

あわせて、対象設備の要件強化に関する案も議論された。具体的には、重要インフラのサイバーセキュリティ基準「JC-STARラベリング制度」の★1の取得を義務づけるほか、海外製のリチウムイオンセルの使用比率を全体容量の30%未満に制限する案が示された。これは、サプライチェーンの途絶リスクを低減するための対応として位置づけられている。

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