
延期された(画像:原子力規制委員会)
新潟県の花角英世知事は5月21日、東京電力ホールディングス「柏崎刈羽原子力発電所」の再稼働について、県内5市町の首長と意見交換を行った。翌日の各社報道によると、6・7号機(各出力:1.36GW)のうち、どちらを優先して再稼働させるかを検討しているという。なお、いずれの原子炉も改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)である。
花角知事は再稼働の最終判断にあたり、県民や自治体の意見を反映するため、県内首長との年1回の懇談会を活用するとしている。意見交換会は5回に分けて行っており、今回の対象は、十日町市、魚沼市、南魚沼市、湯沢町、津南町の首長であった。
なお、柏崎市の桜井政博市長は2024年8月に再稼働を容認する意向を示した際、再稼働の早期判断を求めるとともに、花角知事の対応が遅いと指摘していた。
6・7号機はいずれも原子力規制委員会の審査に合格しており、当初は工事計画の認可が早かった7号機を優先して再稼働を目指していた。しかし、7号機のテロ対策工事が遅延し、設置期限の2025年10月に間に合わず、現在では約4年遅れの2029年8月完了を目標としている。6号機の設置期限は2029年9月であることから、優先順位の議論が高まっている。
東京電力柏崎刈羽原発の稲垣武之所長は2025年2月27日の会見で、7号機遅延の理由について「沸騰水型原子炉(BWR)として初めての工事であり、これまでの審査を通して、詳細設計の見直しに時間を要し、これに伴う審査も長期化したことによるものです」と説明した。7号機の燃料装荷は2024年4月に完了し、6号機は2025年6月10日に行う予定である。
2025年5月22日のNHKの報道によると、東京電力は引き続き7号機を優先し、地元の同意や検査状況を踏まえて再稼働を検討しているという。
第7次エネルギー基本計画に掲げている電源構成の実現や、半導体およびデータセンターの新増設による電力需要の増加が見込まれる中、柏崎刈羽原発の再稼働時期は関東エリアの電力需給に大きな影響を与えると見られ、注目を集めている。