
取り、PPAを通じて売電する予定だ(画像:住友商事)
住友商事やJR東日本エネルギー開発など9社は、4月2日、共同出資するSPC(特定目的会社)の福島復興風力合同会社を通じて福島県で建設を進めていた「阿武隈風力発電所」(合計出力:147MW)の運転を開始したと発表した。
出資企業は、住友商事、JR東日本エネルギー開発をはじめ、ふくしま未来研究会、ジャパンウィンドエンジニアリング、福島発電、清水建設、大林クリーンエナジー、レノバ、信夫山福島電力の9社である。
阿武隈風力発電所は、福島県内の田村市、大熊町、浪江町、葛尾村にまたがる「阿武隈風力第一」から「阿武隈風力第四」までの発電所を指し、GEベルノバ製の3.2MW風力タービンを46基設置した。設備は東芝エネルギーシステムズが提供し、今後20年間のO&M(運用・保守)を担当する。また、発電所の需給調整は住友商事グループのENEXIAが担う。
同発電所は、2016年度に22円/kWhで20年間のFIT(固定価格買取制度)認定を受けていたが、運転開始前にFIP(フィード・イン・プレミアム)へ移行したことで、需要家との相対取引が可能となった。住友商事は、年間約360GWhの発電電力を全量買い取り、フィジカルおよびバーチャルPPAを通じて、主に福島県内の企業や自治体に供給する予定だ。
現在、PPAの交渉が進められており、供給先候補として、かもめミライ水産、大熊町役場、東京都中央区への電力供給を目指す地域新電力の大熊るるるん電力、東北エリアに工場を構える半導体製造のSUMCOなどが挙げられている。また、住友商事は、グループ内で一部の電力を利用することも検討しているという。
阿武隈風力発電所は、今年運転を開始した大型陸上風力発電事業としては2番目に大規模であり、最も規模が大きいのは、2025年2月に最終区画が完成したユーラスエナジーによる北海道の道北風力発電事業(合計出力:434.5MW)である。