
九州電力は5月19日、「九電グループ経営ビジョン2035」を発表し、2025年度から2035年度までの11年間で、再エネやカーボンニュートラルに関連する取り組みに約1.5兆円を投資する計画を明らかにした。
この計画の一環として、2035年度の排出原単位を0.29kg-CO2/kWhまで削減する目標を掲げており、2023年の0.347kg-CO2/kWhからの削減を目指す。その手段として、再エネの拡大によるものが50%、低炭素火力発電への移行が40%、原子力発電の活用率向上が10%である。
再エネについては、2035年度までに設備容量を10GWに拡大する計画である。新たな発電所や蓄電所の開発に加え、アグリゲーションやO&M(運転・保守)など、他社向けサービスの拡充にも注力し、再エネ取扱量を2035年度に15TWhまで拡大する方針だ。
火力発電に関連する排出削減目標の達成に向けては、水素10%、アンモニア20%の混焼率を目指す。また、北九州市の「新小倉発電所」ではリプレース工事を計画しており、合計1.2GWの高効率LNGコンバインドサイクル方式を採用した発電機の導入を予定している。加えて、小規模ながらも二酸化炭素回収・貯留(CCS)の導入も計画している。
原子力発電については、2024年度の設備利用率88.6%を、2031~2035年度の平均で90%まで引き上げることを目指す。さらに、次世代革新炉の開発に向けた検討も開始する方針である。
2035年以降については、水素・アンモニアの専焼化、CCS、次世代再エネおよび電力貯蔵、排他的経済水域(EEZ)を含む海域での浮体式洋上風力、潮流発電などを開発し、発電由来のCO2排出削減をさらに進める方針を示した。