
賄うことを目指している(画像:ヒューリック)
不動産開発大手のヒューリックは8月13日、カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人(以下、「CSIF」)に対する株式公開買付(TOB)の買付価格を、従来比で3.7%引き上げて1口当たり89,930円とすると発表した。
これはTOB発表前の終値に対し、19.3%のプレミアム(上乗せ幅)となる。また、当初8月13日までとしていた公開買付期間を9月3日まで延長する。
同社は2025年6月に再エネ分野への事業展開の一環として、CSIFの発行済投資口の20%を取得する方針を発表していた。これは、CSIFを持分法適用関連会社化するために必要な割合であり、取得割合がこれに満たない場合は買付を行わない意向だ。
ヒューリックは現在、CSIFの投資口を保有していないが、目標とする20%を取得すれば、スポンサー企業であるカナディアン・ソーラー・プロジェクトの既存持分約15%と合わせて、浮動株比率は約85%から約65%となる見込みだ。ただし今回のTOBは、非上場化を目的としたものではなく、市場取引への影響は限定的とみられており、CSIFもTOBへの賛同を表明している。
今回のTOBは純投資目的であり、CSIFの資産運用会社であるカナディアン・ソーラー・アセットマネジメントおよびスポンサー企業との間で、建設的な協議の機会となることを期待し、ヒューリックはグループの事業拡大と発展につなげる考えだ。
CSIFは、2017年10月に東証インフラファンド市場に上場した。2025年8月15日時点で全国34ヵ所の太陽光発電所(合計出力:246.3MW/DC)に総額1,018億円を投資している。このうち約82%が、FIT価格40円または36円/kWhの案件で、九州エリアが約60%を占める。
ヒューリックは、2023年5月にはグループで使用する電力をすべて再エネで賄う「RE100」を達成しており、目標達成が視野に入ったことを踏まえ、再エネ事業に参入した。2025年1月には、2034年までに系統用蓄電所に10年間で1,000億円を投資する方針を公表し、同年3月には、東京電力リニューアブルパワーとオフサイトPPAを締結、蓄電池ファンドにも出資している。
今回のTOBは、脱炭素を進める電力需要家が、再エネ開発事業者や電源保有者と連携し、電力市場での事業機会を得ようとする取り組みの一環と位置づけられる。