スパークス・グループ、関西電力、JA三井リース、静岡・茨城で特別高圧蓄電所を開発へ

2025年10月1日
3社は特別高圧の蓄電所2件を共同開発する
(画像:スパークス)

スパークス・グループ(以下、「スパークス」)、関西電力JA三井リースの3社は9月25日、静岡県と茨城県において、新たに特別高圧の系統用蓄電所2件の開発計画を発表した。

これにより、3社が共同で手掛ける蓄電所案件は計4件、合計出力180MW・合計容量636.8MWhに達する見通しである。すべての蓄電所は2029年6月までに稼働予定である。

今回開発する蓄電所は、中部エリアの浜松市に1件(30.0MW/110.3MWh)、関東エリアの水戸市に1件(50.0MW/175.5MWh)である。敷地面積は、それぞれ5,000㎡と8,000㎡で、浜松の案件は2028年6月、水戸市の案件は2029年6月の稼働を予定している。いずれの案件も、長期脱炭素電源オークションやその他の補助金制度は利用せず、全額民間の資金による開発となる。

3社は2025年3月に発表済みの北海道札幌市における2件の特別高圧蓄電所(各50MW/175.5MWh)に続く取り組みとなる。案件の開発・資金調達・運営支援は、札幌市の案件と同様に、スパークスの子会社であるスパークス・グリーンエナジー&テクノロジー(SGET)が担う。関西電力は、蓄電池の劣化診断および運用支援サービスを提供し、さらに子会社のE-Flowを通じて、卸電力市場、需給調整市場、容量市場におけるアグリゲーターとして参画する。

新たに開発される蓄電所は、それぞれ「SGET浜松蓄電所合同会社」および「SGET水戸蓄電所合同会社」によって所有される。これらは、スパークス、関西電力、JA三井リースが出資するSPC(特別目的会社)で、出資比率などの詳細は現時点では公表されていない。

経済産業省のデータベースによると、投信投資顧問会社であるスパークスは、これまでに太陽光・陸上風力・バイオマス・地熱といったFIT/FIP案件に対して、累計400MWを超える出資実績を持つ。現在公表されている系統用蓄電所案件は、関西電力およびJA三井リースとの共同開発案件にとどまる。

関西電力は、2024年12月にオリックスと共同開発した「紀の川蓄電所」(48MW/113MWh)の運転を開始しており、さらに、大阪府岬町の多奈川発電所跡地において、きんでんおよびジャパン・エクステンシブ・インフラストラクチャー(JEXI)と共同で蓄電所(99MW/396MWh)を開発中である。関西電力は、2030年代前半までに、1GWの蓄電所を開発する目標も掲げている

一方、JA三井リースも蓄電所事業に積極的で、スパークスおよび関西電力との連携に加え、他社との取り組みも進めている。2024年5月にはパワーエックスとの蓄電所の共同開発を発表し、今後3年間で30件の蓄電所開発を行う計画を示した。同年9月には、同提携に基づき、サンヴィレッジから中部エリアの特別高圧蓄電所3件を取得している

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