
売主である可能性が高い
のぞみエナジーは2024年12月末、運転中の太陽光発電所12ヵ所(合計出力:312MW)を取得したことを発表した当時、発電所の売主は明らかになっていなかった。しかし、エネハブがこれまでの発表内容や資源エネルギー庁のデータを照らし合わせて分析したところ、売主はPAG Renewablesである可能性が高いことが分かった。
のぞみエナジーがFIT太陽光発電所を取得したことを発表した際に公表された発電所の情報が、PAG Renewablesの関連会社の保有電源と類似する点が多いことが理由である。
のぞみエナジーが取得した発電所は、それぞれ少なくとも2040年までFITの契約期間が残っており、発電所の規模は1MW〜60MWであることが分かっている。また、発電所の所在地は関東エリアに9ヵ所、東北エリア、中部エリア、九州エリアにそれぞれ1ヵ所ずつだと発表されている。
PAG Renewablesは、「FS Japan Project ●●合同会社」の法人名で登記している特別目的会社(以下、「PAG Renewablesの関連会社」)がいくつかあり、その裏付けとしてPAG Renewablesと同一の電話番号と住所である。エネルギー庁のFIT/FIP認定情報データベースによると、PAGの関連会社は2024年11月末時点で、発電出力1.1MW〜60.5MWまでの全13ヵ所の運転中のFIT太陽光発電所を所有していたことが確認できる。所在地の内訳は、関東エリア(栃木県)に10ヵ所、東北エリア(福島県)、中部エリア(三重県)、九州エリア(大分県)に1ヵ所ずつと、のぞみエナジーが発表した内容と酷似する。
また、のぞみエナジーは昨日、東日本旅客鉄道の新幹線の運転用電力向けに東北電力とPPAを締結し、福島県いわき市の太陽光発電所(出力:21MW)を活用することを発表したばかりである。これは、PAG Renewablesの関連会社が2024年11月末時点で保有していた発電所の出力と一致する。
また、PAG Renewablesの関連会社が保有していた運転中のFIT/FIP発電所のリストから推測すると、のぞみエナジーが昨年末に取得した発電所は、本稿の末尾に記載した発電所13ヵ所のうち、那須塩原の発電所 (運転開始:2024年) を除く12ヵ所の発電所(合計310MW/DC、237MW/AC)である可能性が高い。
なお、FIT価格については、PAG Renewablesが福島県いわき市に保有していた発電所は、「太陽光第4回入札(2019年度上期)」にて12.85円/kWhで落札しており、他のFIT発電所については、2013年度に36円/kWh、2014年度に32円/kWhと高水準のFIT価格で認定を受けた。
PAG Renewablesの関係会社はこの他にも多くの発電所を開発しており、2023年には山口県の太陽光発電所(39.0MW/DC、28.8MW/AC)を活用した30年間のオフサイトPPAを締結しており、今年度中の運転開始を目指している。
PAG関連会社が保有するFIT/FIP太陽光発電所の一覧(2024年11月末時点)
- 東北エリア(FIT認定:2019年度、運転開始:2023年、FIT期間:〜2043年2月)
- 福島県いわき市(31.5MW/DC、21.0MW/AC)
- 関東エリア(別途記載がない限りは、すべてFIT認定:2014年度、運転開始:2023年、FIT期間:〜2041年9月)
- 栃木県那須塩原市(35.6 MW/DC、28.5 MW/AC)
- 栃木県那須塩原市(31.9MW/DC、25.5MW/AC)
- 栃木県那須塩原市(30.0MW/DC、24.0 MW/AC)
- 栃木県那須塩原市(23.3 MW/DC、19.3 MW/AC)
- 栃木県那須塩原市(16.7 MW/DC、13.5 MW/AC)
- 栃木県那須塩原市(21.5 MW/DC、19.3 MW/AC)、FIT認定:2013年度、運転開始:2024年
- 栃木県那須町(26.2 MW/DC、21.0 MW/AC)
- 栃木県大田原市(22.4 MW/DC、21.0 MW/AC)
- 栃木県鹿沼市(7.6 MW/DC、6.0 MW/AC)
- 栃木県鹿沼市(1.1 MW/DC、1.0 MW/AC)
- 中部エリア(FIT認定:2013年度、運転開始:2023年、FIT期間:〜2040年8月)
- 三重県伊賀市(60.5MW/DC、37.5MW/AC)
- 九州エリア(FIT認定:2013年度、運転開始:2023年、FIT期間:〜2043年3月)
- 大分県日田市(23.3MW/DC、18.9MW/AC)