
(画像:静岡市)
静岡市の難波喬司市長は9月30日、市議会定例会において、系統用蓄電所の適正な設置に向けた制度の導入を急ぐ考えを示した。現状は法令による規制が不十分で、大規模太陽光と同様に環境、防災、景観の問題が想定されることを理由に挙げた。
同定例会で市長は、公明党の山梨渉議員の質問に対し、「適正な立地を誘導するための制度、それには条例の制定も有力な案ですが、制度の導入に向けて、作業を急ぎます」と答弁した。静岡市清水区では、第一種住居地域で市内最大規模となる系統用蓄電所が計画されている。騒音や火災を懸念する住民が署名運動を実施しており、市議会でも質問が出ていた。
静岡市は太陽光発電施設を対象とする条例を2026年11月1日に施行する予定だが、系統用蓄電所は対象に含まれていない。国の法令にも、大規模太陽光発電所のように地域への説明を求める枠組みはない。電気事業法では、電気工作物としての保安規制を受け、一定規模以上であれば発電事業の届出が必要となる。ただし、いずれも事業や設備の安全を対象としたもので、立地を制限するものではない。都市計画法の開発許可についても、国土交通省が2025年4月に出した技術的助言で、発電事業用などを除く一部の蓄電池が対象となり得るとされたにとどまる。
静岡県内では、系統用蓄電所に関する制度の整備が進んでいる。浜松市は2025年12月に系統用蓄電池設備に関するガイドラインを策定した。湖西市は2026年4月の条例改正で系統用蓄電所を規制対象に加え、御殿場市は系統用蓄電所を含む再エネ設備の規制条例を2026年10月1日付で施行した。
エネハブの調査によると、系統用蓄電所を対象に含む再エネ発電設備の設置条例を施行している自治体は、2026年10月6日時点で湖西市と御殿場市を含め全国で9自治体ある。北海道では北斗市が2024年12月、登別市が2025年6月に新たに条例を施行した。岩手県雫石町、群馬県桐生市、兵庫県神戸市、岡山県真庭市は、蓄電所を対象に加える条例改正を施行済みだ。茨城県牛久市も2026年6月に条例を改正し、蓄電所を対象とした。
蓄電所の導入が進むなか、複数の自治体で騒音などに関する住民からの問い合わせが増えているという。広島県呉市では2026年8月、市街化調整区域で計画されている10MW以上の蓄電所に対し、住民が約2,200筆の署名を添えて条例の制定を求める要望書を提出した。呉市は今後、全国市長会を通じて国に法整備を要望するとともに、事業者に事前協議や地域との合意形成への配慮を求める要綱の策定を検討するとしている。