
NTTアノードエナジー、JERA Cross、NTTドコモは、2024年12月から2025年9月にかけて、24時間・365日CO2を排出しない「24/7カーボンフリー電力」供給を見据えたHourly Matchingの実証実験を国内で初めて実施した。Hourly Matchingは、再エネの電力需給を1時間単位で一致させる調達手法である。
今回の実証では、NTTアノードエナジーは追加性のある非FIT太陽光とバイオマスを組み合わせた電力を、NTTドコモの通信ビル3拠点(ドコモ青森ビル、ドコモ秋田ビル、ドコモ仙台ビル)に供給した。一方、JERA Crossは発電電力量と消費電力量を1時間単位で追跡。月別・時間帯別に需給のマッチングを可視化し、再エネの不足時間帯や余剰時間帯を把握することに成功した。
こうした取り組みの背景には、GHG(温室効果ガス)排出量の国際的な算定・報告基準であるGHGプロトコルの見直しがある。同プロトコルでは排出量をスコープ1(自社の直接排出)、スコープ2(購入電力由来の間接排出)、スコープ3(サプライチェーンなどその他の間接排出)の3つに区分している。中でも、スコープ2の見直しは、企業のGHG排出量の算定や脱炭素化に向けた取り組みに影響を与えるとみられる。
現行のスコープ2では年間電力量を基に算定するため、昼間に発電された太陽光の環境価値を夜間の消費電力量に充当することも可能である。この場合、夜間には火力電源などが稼働していても排出量をゼロとみなせるため、実際の削減効果との乖離が生じる。そのため、今回の見直しではHourly Matchingの考え方を新たに取り入れる方向で議論が進められている。
スコープ2の定義については、国際的な基準策定機関であるGHGプロトコル事務局が、2026年1月末までパブリックコメントを募集し、2027年中の決定を目指して改訂作業を進めている。Hourly Matchingの導入についても、企業にどの程度の達成水準を求めるかをめぐり、議論が続いている。
今回の実証は、将来の制度変更を見据えた先行事例と位置付けられる。今後、NTTアノードエナジーとJERA CrossはNTTドコモをはじめとする需要家と連携し、蓄電所などの活用による再エネ需給の一致に向けて、技術の向上や制度整備に取り組む姿勢を示している。