
初の系統用蓄電所である(画像:Banpu NEXT)
タイの再エネ開発事業者Banpu NEXTは7月25日、日本国内での系統用蓄電所の開発容量を2030年までに1GWh超とする新たな目標を発表した。同社は日本法人のバンプージャパンを通じて、国内で複数の蓄電所案件を進めている。
岩手県遠野市では、「遠野松崎蓄電所」(14.5MW/58.0MWh)が2025年6月に運転を開始した。バンプージャパンはグローバルエンジニアリングと共同で開発しており、経済産業省の2021年度補正予算「再生可能エネルギー導入加速化に向けた系統用蓄電池等導入支援事業」の採択を受け、約14億円の補助金を活用している。
また、福島県の「会津若松蓄電所」および宮崎県都農町の蓄電所(各26MW/104MWh)はいずれも2028年の運転開始を予定している。両案件とも経産省の2024年度予算「再生可能エネルギー導入拡大・系統用蓄電池等電力貯蔵システム導入支援事業費補助金」に採択され、会津若松蓄電所は約19.5億円、都農町の蓄電所は約20億円の補助金が交付される見込みである。なお、蓄電池を納入するパワーエックスは当初、両案件の容量を109MWhとしていたが、Banpu NEXTは104MWhと公表している。
さらに、バンプージャパンは上組と共同で東京都江東区の上組物流センター内に「東京都海の森蓄電所」(1.999MW/8.2MWh)の開発を計画しており、2028年4月に完工予定である。同蓄電所は東京都の2024年度「再エネ導入拡大を見据えた系統用大規模蓄電池導入促進事業」の採択を受け、2.9億円の補助金が交付される予定だ。
Banpu NEXTのCEO、Smittipon Srethapramote氏は日本国内の系統用蓄電所市場が2030年まで年平均32.1%成長すると予測している。AI制御を活用し、卸電力市場、需給調整市場、容量市場といった複数の取引市場に積極的に参入して、収益性を高める方針を示している。
同社は1GWh超の蓄電所開発目標の達成に向けて、さらなる開発計画を策定しており、国内での蓄電所事業への投資を拡大していく計画だ。