
(画像:Mugu-shisai / CC BY-SA 3.0)
原子力規制委員会は7月30日、北海道電力の泊原子力発電所3号機(出力:912MW)について、福島第一原発事故後に施行された新規制基準に適合していると正式に判断した。審査書案は2025年5月に了承されており、今回の承認により3号機は正式に「合格」となった。
北海道電力は同日、3号機を「2027年内のできるだけ早期に」運転を再開させる方針を示した。再稼働には、2024年3月から建設を進めている新たな防波堤の完成が必要とされ、2027年初頭の完成を見込んでいる。また、再稼働に向け、安全対策に関する詳細設計や工事規定の策定、安全規定の改訂も必要となる。
泊原発3号機は2009年12月に運転を開始したが、福島第一原発事故の影響を受け、2012年5月に運転を停止した。その後、2013年7月に新規制基準による適合性審査を申請したものの、関西電力の高浜3・4号機(各出力:870MW)や九州電力の川内1・2号機(各出力:890MW)と比べ、審査期間が大幅に長引いた。両社の原発は申請後、2015年から2017年にかけて再稼働している。
再稼働に向けては技術的対応に加え、地元の同意や法的対応も必要とされる。2011年に提訴された訴訟では、泊原発の自然災害対策が不十分だとして、裁判所が運転を禁じる仮処分を下したが、現在もその判断をめぐる控訴審が続いている。
泊原発を含む停止中の原発の再稼働は、第7次エネルギー基本計画で掲げる原子力発電比率の実現に不可欠とみられる。特に北海道エリアでは、データセンターや半導体工場の新設に伴う電力需要の増加が見込まれており、供給力の確保が課題となっている。
北海道電力は、1989年と1991年にそれぞれ運転を開始した1・2号機(各出力:579MW)の再稼働も計画している。「ほくでんグループ経営ビジョン2035」では、これら2基について、2030年代前半での再稼働を目指す方針を掲げている。