
ファイナンスモデル確立を目指す
東京都は6月20日、伊藤忠商事などと共同で運営する「東京都蓄電所投資事業有限責任組合」が5月30日に第1号案件の投資を実施したと発表した。
投資対象は、茨城県笠間市で計画中の系統用蓄電所(容量:80.48MWh)である。ジーアイエナジーストレージ2号が運営し、2028年9月の運転開始を予定している。
同蓄電所は、東京都の2024年度「再エネ導入拡大を見据えた系統用大規模蓄電池導入支援事業」の採択を受け、総事業費約40億円のうち、約16億円の補助金の交付が決定している。なお、交付を受けた同事業の共同申請者は自然電力である。
東京都蓄電所投資事業有限責任組合は2024年2月に設立され、資金規模は90億円で、うち東京都が20億円を出資している。運用は、伊藤忠商事と英国Gore Street Capitalとの合弁会社であるジーアイエナジーストレージマネジメントが行う。
出資者には、伊藤忠商事のほか、NCSアールイーキャピタル、東急不動産、東京センチュリー、日本郵政、芙蓉総合リース、本田技研工業、三菱地所、三菱UFJ信託銀行、森トラスト、横浜銀行が名を連ねる。
東京都は同ファンドをグリーンファイナンスの成長の一環と位置付けており、系統用蓄電所事業のファイナンスモデルの確立を目指す。投資対象は、主に関東エリアで新たに開発する系統用蓄電所のほか、太陽光発電所などの再エネ併設型蓄電池も含まれる。
同ファンドは東京都の「2050東京戦略」における戦略12「国際金融都市・東京のプレゼンスを確立」を推進する取り組みとして位置づけられており、民間投資の呼び水としての役割を果たすことで、系統用蓄電所分野での新たな事業方式の確立を目指すとしている。