
高まっている(画像:Kakidai, CC BY-SA 4.0)
東京商品取引所(TOCOM)は5月26日、電力先物市場における「年度物」取引を開始した。取引初日には、2026年度物が10枚成立し、合計約8.8GWhが取引された。東エリアは13.30円/kWh、西エリアは11.35円/kWhであった。
「年度物」は現金決済型の先物取引で、取引対象は卸電力市場(JEPX)スポット市場の東京エリア・関西エリアにおけるベースロード(0:00〜24:00)価格に連動する「年度ベースロード電力」と、日中ロード(8:00〜20:00)の価格に連動する「年度日中ロード電力」で構成されている。なお、年度物で決済が成立しなかった場合には、月間物に分解して決済される「カスケーディング」が適用される。
今回の年度物取引の導入は、電力市場の価格変動リスクに備えたヘッジニーズの高まりに対応したものである。特に、欧州エネルギー取引所(EEX)では、日本の電力先物取引市場の90%以上のシェアを有しており、同市場における取引量は年々増加している。
TOCOMおよびEEXの両取引所は、こうした市場拡大に対応するために、取扱商品の拡充を進めている。EEXは2025年2月に電力月次先物オプションを導入し、同年4月にはスクリーン取引の提供を開始した。TOCOMも2026年春には中部エリアを対象とした電力先物の新設を予定していると電気新聞が報じている。