浪江町、地域エネルギー会社設立へ、民間事業者と基本協定を締結

2025年4月4日
浪江町における電力の供給先は、今後検討を進めていく(画像:ミライト・ワン)

福島県浪江町は3月21日、地産地消を目的とした地域エネルギー会社の設立に向け、通信建設大手のミライト・ワンと小売電気事業者のタクマエナジーとの間で基本協定を締結したと発表した。新会社は2026年度中の発足を目指し、3者間で具体的な協議を進めるという。

同協定は公募型プロポーザル方式により、ミライト・ワンを代表企業とするコンソーシアムが優先交渉先として選定された。浪江町では太陽光や風力など再エネの取り組みが進んでいるが、発電した電力のほとんどがFIT(固定価格買取制度)を通じて町外に供給されており、再エネの地産地消と地域経済の活性化が課題となっている。

新会社設立後、浪江町は電源開発事業用地の確保や供給先の発掘などを進め、ゼロカーボンシティの実現に向けた取り組みを強化する。ミライト・ワンは、インフラ建設の経験や浪江町での復興支援を行ってきた実績を活かし、地域エネルギー会社の事業運営や経営戦略の立案を担当する。また、タクマエナジーは、全国各地の自治体で地産地消の取り組みを支援してきたノウハウを活用し、新会社の設立支援や小売電気事業の運用支援等を担う。新会社の発足後、できるだけ早期に電力小売を開始する計画だ。

タクマエナジーは、全国各地で廃棄物やバイオマス由来等の再エネ電力の地産地消事業に取り組んでおり、先月26日には岡山市からも事業を受注した。この取り組みは、同社にとって12件目(自己託送制度を活用した取り組みは5件目)となる。岡山市では、ごみ処理施設である東部クリーンセンターで発電した電力を2025年4月から岡山市役所本庁舎をはじめとする市有施設4ヵ所に供給し、うち3ヵ所で自己託送制度を活用する。また、タクマエナジーは日々の需給管理といった自己託送の運用支援や、再エネ電力等の市所有施設における利用拡大にも取り組む。

脱炭素目標に向けた取り組みや電力の地産地消、地域経済の活性化を目的とした自治体が出資する新電力の設立や民間事業者が自治体を支援する取り組みが増えており、卒FIT後の発電所の活用事例としても注目が高まっている。

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