
領海内で進められている
政府は3月7日、洋上風力発電の開発区域を拡大するための「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定した。
この法案は、日本の排他的経済水域(EEZ)における洋上風力発電の開発を促進するもので、今国会での法案の成立を目指している。
これまで、洋上風力発電事業は沖合から12海里(約22km)の領海内での開発に制限されていた。しかし、今回の法案により、開発区域が日本のEEZに拡大され、沖合から200海里(約370km)までの広範な海域での発電所の開発が可能となる。自然エネルギー財団の試算によると、開発区域が広がることにより、使用する風力タービンの種類や平均風速によっては発電量のポテンシャルが最大で2倍になる可能性があるという。
同法案では、EEZ内における洋上風力発電所の開発プロセスが示されており、経済産業省は、適した開発区域を「募集区域」として指定し、事業者からの事業計画案を求める。計画案が経済産業省と国土交通省による仮承認を受け、開発事業者や利害関係者を含めた協議会での協議を経て、許可基準に適合する場合に、発電所の開発が認められる。
同様の法案は2024年にも国会に提出され、衆議院で可決したものの、参議院での審議時間不足と総選挙実施の影響で廃案となった経緯がある。
政府は、2030年までに10GW、2040年までに30〜45GWの洋上風力発電の案件形成を目標としており、今回の法案成立により、脱炭素化に向けた重要な施策である洋上風力発電設備の導入量が大きく進展することが期待されている。