
携わってきた(画像:ユーラステクニカルサービス)
豊田通商の完全子会社であるユーラステクニカルサービスは2月10日、陸上風力発電所のO&M(運用・保守)トータルサポートサービス「Eurus O&M Service」を開始すると発表した。
ユーラスエナジーグループの保守運転部門として、同社は全国38ヵ所の風力発電所(総連系容量:1.1GW以上)のO&Mを担当している。
風力発電所は、メンテナンスを担う人材の不足が深刻化していることに加え、海外製の風力タービンを導入するケースも増え、部品供給などのサプライチェーンの課題も顕在化している。
そのような中、ユーラステクニカルサービスは国内の陸上風力発電所に向けて、設備の保守管理や発電所の異常を遠隔監視し、異常を検知・分析するサービスを提供するほか、部品の調達代行サービスや事業計画策定のアドバイザリー業務など、運用に関わるニーズにも対応する。
経済産業省は2030年度までに陸上風力発電の導入量を17.9GWにする目標を掲げているものの、2024年3月末時点の導入量は5.9GWにとどまっている。そのうち約20%は、ユーラスエナジーホールディングスが保有しており、同社は今月3日に「勇知ウインドファーム」(出力:72.2MW)、14日には「芦川ウインドファーム」の南側区画(連系容量:60MW)の運転を開始した。
電力広域的運営推進機関は先月、今後10年間の需要想定を公表し、データセンターや半導体工場の新増設による電力需要の増加を見込んでいる。その一方で、これまで再エネ電源を牽引してきた太陽光発電は適地確保が課題であるため、今後風力発電の増加が期待されている。
エネハブのPPAデータベースによると、陸上風力発電所を活用したPPAの締結も増えており、再エネ電力を長期的に確保する事業者の関心は高い。それに伴い、陸上風力発電の導入拡大に向けての支援体制としてO&Mサービスの需要が高まることが予想される。