
(画像:九電みらいエナジー)
三井住友銀行(以下、「SMBC」)は2月10日、九電みらいエナジーとオフサイトPPAを締結したことを発表した。小売電気事業者の九州電力を通して、九電みらいエナジーが保有する地熱発電所から電力を調達する。PPAで供給される電力量や供給開始日は、現時点で明らかにされていない。
契約対象の地熱発電所は総出力197.5MWの4ヵ所で、なかでも大分県玖珠郡九重町の八丁原発電所(出力:110MW)は日本最大の地熱発電所である。1977年に1号機、1990年に2号機(各出力:55MW)の運転を開始している。他には、同じく九重町にある滝上発電所(出力:27.5MW)、鹿児島県の山川発電所(出力:30MW)、大霧発電所(出力:30MW)が含まれている。
なお、2025年1月には、デジタルグリッドが提供するバーチャルPPAのマッチングプラットフォームを通じて、地熱発電所を活用した22.8MWのバーチャルPPAのマッチングが成立したが、これは契約の成立ではなく「価格合意形成を踏まえた商談申込」が成立したことを示しているため、PPA契約に至ったかどうかは確認されていない。このため、地熱発電所を利用したPPAとして公表されているのは、九電みらいエナジーと三井住友銀行との契約が初めてとなる。
さらに、SMBCは、東京電力エナジーパートナーを小売電気事業者として、アドバンスが保有する太陽光発電所(合計出力:4.9MW)から電力を調達するオフサイトPPAも締結している。SMBCの「サステナビリティデータブック2024」によると、2023年度のSMBCグループ全体での電力使用量(再エネ以外)は198GWhで、そのうち再エネ電力は160GWhであったことから、再エネの調達に力を入れている。
九電みらいエナジーは、今回契約した発電所のほかにも、比較的小規模の地熱発電所をいくつか保有している。大岳発電所(出力:14.5MW)、八丁原バイナリー発電所(出力:2.0MW)、菅原バイナリー発電所(出力:4.99MW)、山川バイナリー発電所(出力:4.99MW)の4ヵ所で、八丁原バイナリー発電所以外はFIT(固定価格買取制度)認定を受けている。
また同社は、霧島烏帽子岳バイナリー発電所(出力:4.99MW)の開発を進めており、2026年度の運転開始を予定している。